ラジコン装置ものしり帳

ラジコンとはラジコントロールを略した言葉です。日本語に翻訳すると無線操縦となります。今ではラジコンの適用範囲も拡大され、いろいろな価格帯の製品が出されています。しかし、古くはラジコンが模型の中で特別なジャンルであったのも事実です。それは、ラジコン装置の性能、サイズなどに関係しているからだと考えられます。ここでは、ラジコン装置がどのような変遷をたどってきたのか、いろいろな資料からひもといてみたいと思います。

 

1.ラジコンバス

みなさんは、ラジコンという言葉が、「増田屋斉藤貿易という会社の登録商標であった」ことをご存知でしょうか。1967年11月号のラジコン技術の広告にこれを示すものがありましたので、ご覧ください。離れたところから模型を思いのままに操縦すると言う、動く模型の最高の楽しみがラジコンです。現在でも増田屋コーポレーションと社名を変えて存在しています。ホームページもあるようなので興味があればご覧ください。

マスダヤ ラジコン(R)のページ

1955 「ラジコンバス」を発売。画期的な無線操縦玩具を開発する。 と、説明されています。

また、「ラジコン」が増田屋コーポレーションの登録商標であることが、コメントされています。

今回は増田屋のラジコンバスをとりあげます。このような昔のラジコンがどういう原理で動作したのかみなさんも興味があると思います。パッケージはあまり立派ではありません。いかにも、おもちゃの箱といった感じです。

(このラジコンバスは、あうとばぁんさんのコレクションをお借りして、ご紹介しています。輸出用だったようで、すべて英語表記になっています。)

バスそのものも、いかにも、ブリキのおもちゃという感じです。送信機もブリキでできています。残念ながら、アンテナが欠品していますが、パッケージの絵のようなアンテナ(ピアノ線にビニール被覆されたもの)が付属します。送信機の正面の丸穴にアンテナが装着されます。そのすぐ右側の長丸の窓には、高圧発生時の放電が見えます。ケース側面に押しボタンスイッチがあります。送信機は単1、3本の4.5V動作、バス本体は単1、1本が受信機、単1、2本が動力およびサーボ用です。

セットには回路図が添付されています。送信機はブザーのような仕組みになっています。ボタンを押すと、コイルに電流が流れ、鉄片を吸い付けます。鉄片が吸い付けられると電流が切れます。また、電流が流れて鉄片が吸い付けられます。これのくり返しで振動します。すると、電磁誘導の法則でコイルには高電圧が発生します。発生した高電圧は放電管を通じて放電されます。コイルには並列にコンデンサが接続されていて共振回路を構成しています。同時にアンテナからはブザーの振動数(500Hz位と思われます)により変調されたイグニッション電波が発射されます。(多くの高調波を含んでいます)受信側(バス)ではコヒーラーとコイルが直列に接続された回路が構成されています。コヒーラーとは金属の粉末がガラス管に入れられていて、通常、金属粉は酸化されていて導通がありません。そこに送信機から高圧イグニッションにより発射された電波が到着すると、アンテナと直列共振回路により、コヒーラーに高圧がかかります。この高圧によりコヒーラーは導通状態になり、回路に直列に入れられたリレーが閉じます。リレーはサーボモーターを駆動し、サーボモーターが1ポジション動作するたびにコヒーラーが取り付けられた基板をたたくようになっていて、その振動で再び金属粉が絶縁状態になり、リレーが切れます。リレーが閉じている時間サーボのモーターは回転し続けますがサーボにはラチェットが組み込まれていて、60度(360度/6)ずつ回転すると機械的に正確に停止します。サーボ機構の詳細に興味がある方はこちらをご覧ください。

左の写真はシャーシの様子です。左から、共振コイル、コヒーラー、サーボモーター、リレー、電池ボックス、走行モーター、スイッチなどが確認できます。(画像をクリックすると、元のサイズの画像をご覧いただけます。)

 

 

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